2023年最初の日曜ふうえば英語時事

1月15日、日曜ふうえば英語時事。

今回のテーマは「英語教育」

わたくしも含め6名の参加者(うち2名は初参加)。女性3名、男性3名でした。

 

以下、レジュメ、当日のご発言(抄)と続きます。

 

♣♢レジュメ♢♣

 

2023115日ふうえば英語時事  はじめに

 

以前より日本の英語教育の問題点と言われていた諸点を、鈴木なりにまとめてみました。

1 受験目的に偏っている

 生徒にも受験だから仕方なく勉強するという意識があり、大学入試が終わると英語能力は急降下。

 コミュニケーションツールとしての認識が低い。

2 和訳に比重を置きすぎ

 その受験のための英語学習のなかでも英文和訳に比重が置かれ過ぎ、そのためもあり、英語を英語のまま理解できない。日本語で考えてからでないと英語で言えない。夢に英語が出てこないというお粗末。

3 テストがとにかく減点方式

 だから学生は失敗をおそれて委縮してしまう。

4 文法の学習時間が多すぎる

 文法を覚えること自体が目的になってしまい、覚えた文法を実践でつかってみるという時間が少ない

5 発音の訓練時間が少ない

6 ALTが中学、高校では、あまり活用されていない

7 実際に英語を使う機会が少ない

一方、日本の英語教育の良さとして、

1 語彙の豊富さ

2 文法の正確さ

なども指摘されているようです。

 

こうした状況を考えると、現在すすめられている教育改革(学修指導要領の改訂、大学入試改革など)は、それなりに正しい方向にも見えます。

(もっとも、鈴木はかなり違う意見を持っていますが、それは、あとでチョット言いましょう)

 

今日の資料は、

○世界ランキング(英語能力指数)/諸外国における外国語教育の状況

EF EPI 2022 – EF 英語能力指数 (efjapan.co.jp)

 (2022年世界ランキングの部分)

 資料3-4 関係データ集(外国語教育について) (mext.go.jp)

 (2015年文部科学省資料。「諸外国における外国語教育の状況」のページ)

で、日本の英語教育を国際的に比較し、

 

学習指導要領改訂の考え方/学習指導要領改訂に関するスケジュール(出所:文部科学省)

 学習指導要領改訂の考え方 (mext.go.jp)

 学習指導要領改訂に関するスケジュール (mext.go.jp)

 

学習指導要領等の改訂のポイント/学習指導要領に関するQ&A(出所:文部科学省)

 改訂のポイント (mext.go.jp)

 高等学校学習指導要領の改訂のポイント (mext.go.jp)

 平成29年改訂の小・中学校学習指導要領に関するQ&A(外国語,外国語活動に関すること) (mext.go.jp)

 平成30年改訂の高等学校学習指導要領に関するQ&A(外国語に関すること) (mext.go.jp)

 (上記4資料から抜粋)

で、今回の教育改革のうち外国語学習に関する部分を押さえます。

 

さらに、

 OECD国際調査にみる移民の子どもの教育成果とその分析

  en (jst.go.jp)

  (表1、図2の部分など)

で、ノンネイティブへの教育が上手くおこなわれている国について推測を試みます。

 English Language Learning(ELL) Teaching Resources

  English Language Learning (ELL) Teaching Resources - Province of British Columbia (gov.bc.ca)

   (トップページのみ)

については、ご自宅でお読みください。今日は細かく読みません。ここでは概略を書くに留めます。

カナダは各州に教育の権限と独自性がありますが、資料はブリティッシュ・コロンビア州の教育省のものです。以前はESL(English as a second language)としてカナダのノンネイティブへの英語教育の高さは評判でしたが、ESLが発展したのがELLです。今日のわずかな資料からも移民や難民への英語教育が充実していることを何となく感じ取れませんか。その結果が前の資料での数値となって表れている気がします。

 

 

以上です。今日も楽しい議論を期待しております。                 (文責 鈴木央)

 

 

 

♢♣当日のご発言(抄)♣♢

 

・新しい学習指導要領は、レジュメにまとめられた問題点を解決する方向としては妥当ではないか

・受験目的なのが本当によくないのか

・文法は大事である。軽視しないで欲しい

・基本が大事。5文型はとても大事。

・好きなジャンルを使って英語を学べばよい

・新しい学習指導要領を実施できるだけの教員の確保はできているのか? 地域の英語のできる人材の活用を文科省は言っているが、実際には活用が進んでいない。ALTの質のレベルが低い

・なんで小学校から? 母語によって思考力が鍛えられていない段階で英語を学ぶより、中学から始めた方が効率的。中学からやれば一発で出来ることを小学校からやるのは時間のロス

・韓国語の発音から学ぶとよいのではないか。韓国語は合理的で覚えやすく、しかも発音が豊富なので。

・英語が出来なくても日本では日本語ができていれば働ける

・フィンランドやノルウェーの人は英語を自由に使いこなすが当たり前。これらの国はいずれも人口500万人ていどで、翻訳したものが人口1億の日本の20分の1しか売れないから、全ての英語映像、英語文献を翻訳することは不可能で、英語のままで視聴・読解するしかないから。子どもの時から家には英語の映像や文献が満ちている環境なわけ。比較にならない

・明治初期からエリートが外国の知識を翻訳して日本国内に紹介し、大多数の日本人は翻訳で外国の知識を吸収し、世界のなかでやってきた。日本語で、やっていける、働ける

・韓国は英語路線、世界市場を意識している。BTSの成功、それに比してジャニーズの某グループはアメリカに進出したが英語力はなかった。

・今回の教育改革は、韓国のようにやっていくんだという日本政府や官僚中枢の決意が背景にある?

・英語は中学生からで良い。新井紀子が言うようにいまの若い人々の日本語力は危機水準にあり小学校のうちはまず母語の力をアップさせるのが先決。英語に割く時間はもったいない。小学校のうちの外国語活動は慣れる・親しむに留め、しかも、最小の時間でよい。でないと英語も母語である日本語も中途半端なダブル・リミテッド・バイリンガルになる危険性がある。

・さらに高校になったら英語は選択でよい。やりたくない人まで無理に英語の授業を受ける必要はない。進学校でない高校の生徒の大半にとって英語の授業は苦痛である。その分、彼らの本当に役に立つ別の授業に時間を充てた方が良い。一方で難関大学に行く人は英語をどんどん勉強すればよい。将来、翻訳したり、直接に外国人と交渉し合えるレベルの人は絶対に必要なので。

・高校からは選択という意見に基本的には賛成だが、将来いつなんどき英語が必要になるかわからないから、最低限は続けた方がいい

・私は中学でも高校でも英語の通知表に2がついたことがあり入試で苦労したが、大学入学後の二十歳のときに読みたい原書があって英語の勉強(読むための)を再開した。勉強再開後、居酒屋で先輩から「英語は結局、主語ー動詞と、修飾ー被修飾だよ」と聞き、その瞬間「あっ、そうか! 言われてみればそうだ。わかった」と目から鱗が落ちた感じだった。実際、英語は主語ー動詞もっといえば「五文型と修飾ー被修飾関係」に尽きるのであって、それがわかったら、あっという間に英語が読めるようになった。読めるようになってわかったのは英語は実にシンプルな言語ということ。大人になって学び直しても十分間に合う。

・それは、あなたが進学校出身で、そうはいっても基礎が出来ていたからでしょう

・いえ、私は本当に高校卒業まで英語はまったくわからなかったし、授業もさぼっていた。私が英語ができるようになったのは、国語が得意だった為と自己分析しています。

・でも多くの人にとって、やっぱり、将来いつなんどき英語が必要になるかわからないから、最低限の英語の勉強は続けた方がいいと思います

・確かに、そうかも

・中学の英語の教科書レベルで海外で生活できると聞いたことがあります

・そのとおりと思います。

・ふつうの日本人はそれで十分だと思う。ただ、もっとずっと高度な英語が出来る人も必要。どんなに自動翻訳が進んでも最後は人間が訳すしかない。と言うのはレベル4のAIつまり現在開発されているAIは論理・統計・確率のうち論理は抜けているので例えば囲碁でプロの棋士に勝ち新しい打ち筋を提示しても何故その打ち筋かの理由は答えられない。翻訳の場合も、AIは論理がないので文脈を読めない。しかも翻訳者という人間には常識があるがAIには無い。つまりAIはメタの部分で弱い。だから高度な能力を持った翻訳者はこれからも絶対に必要。

・小学校から英語という人は発音のことを言うが、そんなに大事か?

・むかしブロークンな英語で堂々と欧米首脳と渡り合っているアジアのどこかの国の元首がいたが、素晴らしいと子ども心に思った。通じればいい。

・タイ語や中国語は一音節が多いから発音はきわめて重要だが、それに比して、英語はネイティブと発音が違っていても通じる。

(以上、抜粋・要約しました)